知佳の美貌録 「婚前交渉は、例えソレが不倫であっても女の場合許せるの?」

「すんごく美味しいです」
「庭もこの時期が一番きれいだから、ヨーグルトをただ出すより、ソースを工夫してと思って」
普通ならカップに入れるところをこの日は、抹茶茶碗に盛って出していた。
「高かったんでしょ? このソース。 それに、器だって今回が初めて」
「丁寧に扱ってくれる人には、せっかくだから使ってあげたかったのよ。 とは言っても…まあせいぜい4万程度かな」
久美はよく窯元に出かけ、気に入ったものがあれば買ってくる。 それが溜まり溜まって部屋中至る所陶器で埋まっている。 来る人に気軽に見てほしいと買っては来たものの、美術品を理解できる人は友人知人にもほぼいなくて、これまでこのように食べ物・飲み物を入れて供するなどということは滅多になかった。
このところよく来る彼女には、来るたびに出すものの値段がつり上がっていく。 惜しげもなく出す。
彼女にしても、久美には何事において包み隠さず話した。 家庭問題も含め。
「このソース、なんとも言えない味でした。 ここいらでは買えないから、きっとまた通販でしょうね」
「そうそう、以前から気になってた商品。 あなたに食べてもらいたくて取り寄せたの」
「あなたもたまにはこういったものを取り寄せ、家族で楽しんだら」
少しでも雰囲気が和めばというか、良くなればと振るんだが
「だ~めだめ、勿体ない。 買ったとしてもウチひとりで食べます」
こう言い張る彼女。 旦那は年齢が近く、もちろん恋愛結婚。 旦那の仕事の都合で地元を離れ、この土地に越して来たのだが、そも、転勤とはいわば出世を約束事とし地方に送り出すやり方。
身分や給与は確かに良くなった。 が、職場での不満を家庭に持ち込み、他方外で遊び歩くようになる。 そしてお決まりの女が出来る。
ストレスがたまるなどと言い訳し、久しく手も触れて来なくなっていたそうな。 しかも、本社にいるときに比べ、極端に外付き合いが増えた。
彼女はだから、少ない給与の中から付き合い費を、家計をやりくりし工面した。 そんな中に出産祝いというのがあったらしい。
この地方は未だに寿退社が一般的。 出産祝いなど、自分たちも貰っていない。
本社ではお目にかかったことのない出費に戸惑いつつも、地方に来たら習慣に従えと己に言い聞かせ、わざわざ熨斗袋に入れた2万円を手渡したらしい。
そしてある日、家の掃除をしてて、何気なく旦那専用の机の引き出しを開け、そのに熨斗袋があるのを見つけてしまった。 もちろんお金もそのままに。
出産祝いは、真っ赤なウソだったようなのだ。
考えてみれば、出勤時の服にしろ靴下にしろ、何時の頃からか彼女が買い与えた品物ではなかったことに、この時気付かされたそうな。 服のことは当然口にしたが、親に買ってもらったと言い訳したそうな。
浮気を疑い、旦那も離婚を臭わせてきたようなのだ。 しかも、お付き合いの経費のことを持ち出すと 「そんなに言うなら、自分で稼げ」 と言い張ったそうなのだ。
以降、とにかく冷たい関係が続いてるそうなのだが…
いってみれば、久美の友人・知人の中で不倫と無縁な女性はいないそうだ。
周囲の誰からも賢婦人に見られているある女性も、実は不倫経験者だそうな。 今回はその話し
その女性と今の旦那が付き合うきっかけとなったのが、会社が引けてからの同好会。 彼女は学生時代を通じ、美人で気立てがよく、相当モテたそうな。
そこで現旦那は彼女に猛烈にアプローチして来たそうな。
ところが、彼女は会の年下の女性からある相談を受けたそうな。
それがその、いま彼女に言い寄る男が好きだから取り持ってほしい。 恋のキューピットを務めてほしいというもの。
優柔不断な彼女は即断らず、なんとそれを久美に相談して来たそうな。
「ちょっと○○ちゃん。 確かあんた、同じ会社の上司と不倫関係にあったわよね。 会社の中と言わず、ラブホと言わず、やりまくってるって言うじゃない。 男のヒトが言い寄るって、ソレ知ってて言い寄ってるの?」
久美としては当然だった。 女から見れば、あまりにも身勝手で汚らしい。 ところが、
「あのヒトとはこの頃マンネリに…、 声をかけてはくれるけど、大半はその気にならないからこちらから断ってるの…」
つまり、美味しいところはちゃっかり頂き、興奮や快楽が得られなくなった、足りなくなったところは、新たな男で埋め合わせを図る。
自分としては諦めきれないが、どうしたものかと問うて来た。
「じゃあ結論は決まりじゃない? 女の子に紹介できない旨言い含め、あなたはサッサと会を辞し、急いでその男に告るのよ」
「なんて? それで女の子は諦めてくれる?」
「諦めてくれるも何も、告るついでに、あなたも会を辞め結婚してほしいって申し込めばいいじゃん」
その彼女、決断力が乏しく、なんでも男に頼るところがあり、事務所でふたりっきりになったところで言い寄られ、ズルズルとだったと言い張るのだが…
振った上司は個人経営の会社に所長として勤めており、彼女はいわば秘書兼事務員。 お付き合いを申し込んできた男は家柄もそうなら官庁系。 彼女は遊ぶだけ遊んでおいて、頼って来た女の子には理想的な言葉で言いくるめ、自分だけちゃっかり良いほうを取った。 そして結婚、初夜と続き…。
それから数年後、地元を離れ、そのころのことはすっかり忘れて…が、旦那に転勤話が出た。 しかも子供が3人もいるため単身赴任。
当然、旦那にも女が出来た。 毎週帰って来てたものが、2週に1回となり、月に1回となりで、とうとう滅多に帰って来なくなった。
ある日のこと、帰って来た旦那を風呂に案内し、脱いであった背広に手を掛け、内ポケットに何か入っているのを見つけてしまった。
彼女が渡したのとはまた別のハンカチと、そのハンカチにくるまれた手紙が出て来た。
― 早く帰って来てね ―
そう書かれていたと、数年ぶりに泣きながら久美に電話して来た彼女。
「心配しなくていいわよ。 泣くのをやめ、うんとサービスしなさい。 官庁職員が、不倫ごときで人生を棒に振るわけない。 きっと帰って来るから」
言い聞かせつつ、ならあんたが結婚前にやらかしたことは、一体全体何だったのよと言いたかったらしい。
人妻が不倫しても揉み消せばそれで済むが、旦那が不倫すればどんなに揉み消そうとしても訴訟問題に発展したり、職を失う場合だってありうる。
久美がせっせともてなす彼女、果たして離婚するだろうか。 それとも知らん顔し、金銭を取るか。 どちらにしても旦那に将来はなし彼女も変わるだろう。
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アップデート 2025/01/11 07:10
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